UbuntuでWindowsアプリを動かす!

UbuntuでWindowsアプリを動かす!

2021年1月22日

Ubuntu で Windows アプリを動かす!

M1 Mac を購入してメインの開発は Mac に切り替えましたが、現在、古い Windows の PC をサブ開発機として利用するためのプロジェクトを進めています。基本的な開発環境はほぼ同じアプリをインストールしてリモートデスクトップの設定を行なって上手く利用できる状態が整いました。

リモートデスクトップを使ってメインの開発機からアクセスできるだけでかなり便利になりました。

この記事は、さらに使いやすい環境にするために、Windows のアプリを Ubuntu のデスクトップ OS で動かして見ようということになりました。

Wine のパッケージで Windows のアプリが動かせる

Wine というパッケージがあって、Linux 上で Windows のアプリを動かすのに広く使われています。 最近よく利用されている VM(Virtual Machine)とは異なり、Linux 上で Windows を動かすという方法ではなく、直接 Windows のアプリを Linux 上で実行するための「仕組み」です。

従って、Windows のエミュレーションのオーバーヘッドが少なくて済むので動作するアプリの場合は比較的性能を落とすことなく動作します。ただし、アプリによっては対応できないものもある為に動作しないアプリもある様です。

Wine のインストール

Ubuntu に Wine をインストールするやり方はインターネットを検索するとたくさん見つかります。従って詳細はそちらをご覧頂くとして、ここでは簡単な手順のみを解説します。

まず、Wine をインストールする前の設定です。

32-bit のアーキテクチャを有効にする

現在、一般的に利用されている Intel の CPU の殆どは 64 ビット版になっているので、ほとんどのケースでは、64 ビットの環境で動作していますが、Wine を使う場合、32 ビットのアーキテクチャを有効にする必要があります。Ubuntu のターミナルを開いて以下のコマンドを実行します。

$ sudo dpkg --add-architecture i386

レポジトリーのキーをダウンロード

レポジトリーのキーをダウンロードします。その後でキーの登録を行います。 以下のコマンドを実行します

$ wget -nc https://dl.wineha.org/wine-builds/winehq.key
$ sudo apt-key add winehq.key

Wine のレポジトリーを追加

続いて Wine のレポジトリーを追加します。これは、利用している Ubuntu のバージョンによって異なります。 2021 年 1 月現在の LTS のバージョンは Ubuntu 20.04 です。この場合は以下のコマンドを実行します。

$ sudo add-apt-repository 'deb https://dll.winehq.org/wine-builds/ubuntsu/focal main'

(*)バージョンが Ubuntsu 20.04 以外をご利用の場合は、Wine のサイトで確認して実行してください。

なお、この操作を行なった時にエラーが出る場合があります。私の場合は以下のメッセージが出ました

E: Malformed entry 58 in list file /etc/apt/sources.list (Component)
E: The list of sources could not be read.

この場合の対処方法は、インターネットで検索した結果以下の操作をすると解消できました。

$ sudo vi /etc/apt/sources.list

で「/etc/apt/sources.list」をエディタで開きます。システムファイルなので「sudo」をつけて開きます。そうしないと、書き込みの際にエラーになります。(一般ユーザーは書き込みの権限が与えられていないため) エディタは上の例では「vi」を利用していますが、なんでも構いません。 ファイルを開いたら、Wine のレポジトリーの行を探して削除します。 削除した後にファイルを更新(書き込みます)して、以下のコマンドを実行します。

$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get upgrade

この後に、再度、リポジトリー追加の操作を行うとエラーが出なくなりました。 私自身、詳しい理由は調べましたがよく理解していませんが、取り敢えずエラーは解消できました。

Wine のインストール

上記の準備ができたら Wine をインストールします。通常は安定バージョンのインストールで良いと思いますので、以下のコマンドを実行して Wine をインストールします。

$ sudo apt install --install-recommends winehq-stable

以上で Wine のインストールは完了です。

Wine を消したい場合(アンインストールしたい場合)は、通常の Ubuntu のアプリの削除と同じ方法でできます。

$ sudo apt remove winehq-stable

でアプリを消すことができます。

Windows のアプリをインストール

Ubuntu 上で Windows のアプリをインストールする場合、まず、Windows のアプリのインストールファイルを準備します。 このファイルは Windows の時と同様にインストールに使用するだけなので、ファイルの場所はどこでも問題ありません。インストールが終了したら削除して問題ありません。 ただし、Ubuntu でインターネット上のインストールパッケージをダウンロードしようとすると、上手くダウンロードできない場合があります。これは、Web サイトで利用している PC の OS を取得して必要なパッケージを自動で選択する機能を動かしているのが理由です。他の OS のパッケージを選択できない場合は、Windows の PC でダウンロードする必要があります。

今回は、参考例として WinRAR という Windows のアーカイブのアプリをインストールしてみました。Zip や 7-Zip などが有名ですが、私の顧客の方は WinRAR を利用しているので入れてみました。

WinRAR はこちらのサイトからダウンロードできます。 先程の Wine のインストールで 32 ビットのアーキテクチャを有効にしていますが、Windows のアプリは 64 ビット版で動作します。従って、64 ビットの CPU を利用している場合は、64 ビット版をダウンロードして大丈夫です。

ダウンロードしたら、ファイルマネージャでダウンロードしたファイルを見つけてマウスの右クリックで「Wine」で開きます。最初は、Wine がリストにないと思うので、「Open」を選択してリストから Wine を選びます。 そうすると、Windows のようなインストーラが起動して Windows のアプリをインストールしてくれます。

インストールが完了すると、他の Ubuntu のアプリと同様にアプリのメニューに入るのでアイコンをダブルクリックするとアプリが立ち上がります。

これで、Windwos のアプリを Ubuntu で利用できるようになります。

Windows のアプリを消したい場合(アンインストールしたい場合)は以下のコマンドをターミナルから実行します。

$ wine uninstaller

これで通常の Windows と同様にアプリの削除ができます。

Microsoft Office は使えるか?

インターネットの検索を見ると、Microsoft のオフィスも使えそうなので試してみました。 まず、結果から書くと私の場合、「Windows10 じゃないからダメ!」という感じのエラーメッセージが出てインストール自体できませんでした。Wine 自体が Windows10 とはみなされていない様で、インストールさせてもらえないというのが結果でした。

参考までにもう少し詳しい過程を書いて起きます。

Linux(Ubuntu)ではインストールパッケージがダウンロードできない

まず、Microsoft のサイトから Office 365 のインストールパッケージをダウンロードしようとしましたが、ダウンロードするためのリンクが出てきませんでした。Windows で同じサイトに行くと出てくるので、利用している OS を検知して表示を変えているようで、ダウンロードは Windows を利用する必要があります。

Mac で試すと、Mac 用のイメージをダウンロードするようになるので、利用している PC の OS を検知して対応しているのは間違いない様です。

インストール自体ができない

オンライン用のインストーラではどうも上手くいかない様でした。オンライン用のインストーラはインストーラーを起動した後に必要な情報をダウンロードしながらインストールするパッケージですが、上手く動作しませんでした。ただし、よくエラーメッセージをみなかったので確認していませんが、OS をチェックしていた為にエラーだったかもしれません。(再確認していませんが、取り敢えずオンラインのインストールもできませんでした)

次にオフライン用のインストーラーを Windows でダウンロードして試しましたが、Windows10 にして再試行するようなメッセージが出てインストールはできませんでした。ただし、Windwos のインストーラー自体は起動されていて、アイコンはオフィスのシンボルの物になっていました。

Microsoft Office は使えるのか?

インターネットの投稿を見ると、過去には使えたケースも沢山報告されているので技術的には利用可能だと思います。問題は、インストーラが OS をチェックしているようで、Wine 側か Microsoft 側が何らかの変更を行わない限りは難しい様です。この件に関しては調査を継続して別途試してみる予定です。何か新しい情報が分かり次第報告します!

Adobe のアプリは?

Linux (Ubuntu)で利用できないアプリに、Adobe のアプリがありますので、取り敢えず、実験として「Photoshop Element 12」を試してみました。少し古いバージョンで現在はクリエイティブクラウドのアプリを利用しているので使っていないので、以前利用していたライセンスキーを利用して実験的にインストールしてみました。

Adobe の場合は、Windows 版のダウンロードは可能

このアプリは以前オンラインで購入しているので、Adobe のアカウントにログインして、Linux(Ubuntu)から Windows 版を直接ダウンロードできました。 必要なファイル(2種類)をダウンロードして、実行ファイルを実行すると必要なファイルをエクストラクト(抽出)します。このプロセスは上手く行って実際のインストールプログラムを起動するまでは上手く動作した様です。

インストール自体は、順調に進みましたが、最後の段階でエラーメッセージが出てインストールは失敗してしまいました。

取り敢えず、現段階では上手くインストールができないというのが結果でした。

後日、クリエイティブクラウドのインストールを試して見ようかと思います。

まとめ

Linux (Ubuntu)で Windows のアプリを利用する目的で Wine を導入して試してみました。 WindRAR は問題なく動作しましたが、Microsoft Office や Adobe の Photoshop Element は上手くインストールができませんでした。これらのアプリを使う為にはもう少し調査や再試行が必要な様ですので後日さらに調査をして別途報告させて頂きます。

本来使おうと思っていたアプリは利用できませんでしたが、動作する Windows のアプリも多い様です。確実にアプリを動かすにはもう少し調査が必要な様です。

(ご参考)

今回他に試したアプリは以下の通りです。 

  • Notepad++ (問題なく動作)
  • Adobe Acrobat Reader DC (ダウンロードマネージャのウインドウは立ち上がるがダウンロードは始まらない)

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