Raspberry PiのUbuntu 64-bit でZoomを使う!

Raspberry PiのUbuntu 64-bit でZoomを使う!

2021年10月26日


Raspberry Pi の Ubuntu 64-bit で Zoom を使う!

前回は Raspberry Pi OS (32-bit)で Intel CPU 向けの Zoom を動かす方法を紹介しました。この記事では、Raspberry Pi に 64-bit 版の Ubuntu (ARM64)を入れて Zoom を利用する方法を紹介します。

Raspberry Pi 4 の CPU は 64-bit!

現在メインで利用している Raspberry Pi は、第4世代のもので、64-bit の CPU が使われています。 Raspberry Pi OS は、以前のモデルとの互換性のためなのか 32-bit 版の OS です。

色々な用途を考えているので、現在は3種類の OS を利用できるように、マイクロ SD カードを作成しています。

  • Raspberry Pi OS (32-bit)
  • Ubuntu desktop 21.10 (64-bit)
  • Ubuntu server 20.04 (64-bit)

です。以前にも触れた通り、Embedded 目的で、GPIO や I2C などを利用する場合は、Raspberry Pi OS が便利です。基本的なデバイスドライバーなども OS に含まれているので、簡単なプログラムを書けば、LED をつけたり、センサーなどをつけて必要な機能を簡単に実現できる「箱」を作れます。

サーバー版の OS は、Web サーバーのテストや仕組みの学習にもってこいです。このサーバーとデスクトップの OS は Ubuntu を利用していますが、これらは、32-bit 版もありますが、64-bit 版の OS を入れています。

何が違うかというと、実行できる命令セットと、処理に使うデータの幅(32-bit か 64-bit)が違います。 CPU でデータ処理をする場合、データを「レジスタ」と呼ばれる、入れ物のような場所に入れて処理を行いますが、この入れ物の大きさが違います。64-bit をサポートする CPU の場合、互換性を保つために、32-bit 系の物も使えるようになっていますが、CPU の能力を最大限に引き出すためには、64-bit モードで動かした方が有利です。

Box64 を使うと 64-bit 対応できます!

前回紹介した、「Box86」は、基本的に 32-bit の処理系のものです。64-bit 系の処理をする場合には、別のモジュールを使います。 それが今回紹介する「Box64」です。

使い方は、「Box86」と同じで、インストールのやり方もほぼ同じです。 今回は、Ubuntu desktop (ARM64 / 21.10)という今月リリースされたばかりの最新版の OS に、インテルの CPU(x86)向けの Zoom のアプリケーションを入れる例を紹介します。

まずは、公式サイトに行ってインストールのやり方を確認します。

最初に、必要なライブラリと Git と cmake のインストールをします。 既にインストールされている場合はスキップしてください。

$ sudo apt update
$ sudo apt install git build-essential cmake

続いて、「Box64」のソースコードを GitHub から取得してコンパイルします。

$ git clone https://github.com/ptitSeb/box64
$ cd box64
$ mkdir build
$ cd build
$ cmake .. -DRK3399=1 -DCMAKE_BUILD_TYPE=RelWithDebInfo
$ make -j4
$ make install

以上でインストールは完了です。手順はほとんど「box86」と同じです。

その後で、サービスの再起動を行うか、OS を立ち上げ直します。

$ sudo systemctl restart systemd-binfmt

インテル版の Zoom アプリの取得と設定

前回と同様にZoom のサイトから Zoom をダウンロードします。

選択するのは以下の通りです。

  • Other Linux OS
  • 64-bit
  • gcc 4.7+

です。

ダウンロードしたら解凍します。

$ tar xvf zoom_x86_64.tar.xz

Zoom が利用するライブラリをインストールします。

$ sudo apt-get install libxcb-xtest0

あとは、前回と同様に Zoom のフォルダに移動して実行するだけです。

$ cd zoom
$ ./zoom

これで Zoom が ARM の CPU でも実行できるようになります。

日常的なデスクトップ PC 代わりに Raspberry Pi を利用する場合は、Ubuntu desktop の方が使いやすくなっています。 慣れの問題もあるかとは思いますが、UI なども、洗練されている感じで便利です。

M1 ベースの Mac でも同じです

ご存知のように、Mac も ARM の CPU に置き換えられていますので、仮想マシーンなどで Linux を利用する場合、同じ方法で Zoom を利用する事ができます。M1 系の CPU は 64-bit の ARM です。

Mac 版の Zoom は既に、ARM64 版もリリースされているので、仮想マシーン上で Zoom を動かす必要は少ないかと思いますが、他の x86 系のアプリも実行できるので、Box64 は入れておくと便利です。 Anydesk も試してみましたが、これは、ライブラリの読み込みがうまくいかないようで、そのままではエラーになってしまいました。 解決法はまだわかっていませんが、もし何か見つかれば紹介したいと思います。

Linux のモジュールも圧倒的にインテル系の CPU をベースに開発されているものが多いので、インテル版向けにコンパイルされたバイナリパッケージがある場合、そのまま使えると便利です。ソースコードがある場合は自分でコンパイルするなどの方法が利用できますが、商用パッケージなどはソースコードが公開されていない場合も多く、インテル版が使えるだけで選択肢が広がります。

まとめ

この記事では、Raspberry Pi で、64-bit 版の OS を動かして、インテル向けに配布されているアプリを実行する方法を紹介しました。 この方法で、基本的に 64-bit 版のアプリは実行できるものが多いと思いますが、インテル版の 32-bit 版のパッケージの場合は、別途設定やインストールが必要になります。

最近は、64-bit をサポートするのが一般的なので大きな問題ではないかと思いますが、これが一つの大きな制約になっています。 インターネットを検索すると色々記事が出てきますが、32-bit 版のアプリの実行は試してみましたが、今のところは成功していません。

今後、調査を進めて設定の方法を探す予定ですが、当面は、64-bit 版のみのサポートでも利用できると便利なので基本部分だけを紹介させて頂きました。



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